FC2ブログ
■ 船舶燃料油規制のはなし
3月に入りました。

米朝会談、決裂に終わりましたね。

この会談によって果たして日本とアジア、そして世界の安全保障の未来はどういうことになるのか。
そして国際物流はどのような影響を受けることになるのか。

予想される複数のシナリオについて検討を重ね、結果次第で原稿を差し替えようとこのブログを更新するのを待っていたんですが・・・・

・・・・ウソです・・・。

それにしても次から次にいろいろと政治イベントが続きますよね。

米中貿易戦争は、とりあえず3月からの関税の25%への引き上げは「延期」となりましたが、引き続きどうなるのか分からない状況が続いています。

中国経済の失速感と、日本の輸出産業へのその影響もじわじわ出てきた感じです。

今年は2月5日が旧正月で、例年通りここ2週間ほど中国からの輸入の貨物は止まっていました。
本来ならそろそろ本格的に動き出すところですが、今年はちょっと立ち上がりが遅いようです。

中国の都市部の景気が悪化しているため、正月で地元に帰った「農民工」の人たちがそのまま都市部に戻らないため生産再開が遅れている、なんていうような話も聞きました。

それと英国のEU離脱=Brexitも、3月29日の期限までいよいよひと月を切っちゃいましたよね。

これ、延期だの議員提案だの再国民投票だの、「合意なし離脱を否定する議案」が否決されただの、報道を聞いてもだんだん何が
何やら分からなくなって来ました。

そんなこんないろいろなことが起こったり起こらなかったりしそうなこの先数ヶ月ですが、確実に決まっている、国際物流・海上輸送に影響を与える大きなイベント(?)一つあります。

本欄でも以前少し取り上げた、船舶燃料のSOx(硫黄酸化物)規制の2020年1月開始です。

おさらいをしておくと…

2016年10月に開催された国際海事機関の海洋環境保護委員会で、船舶の燃料油に含まれる硫黄分濃度を現状の3.5%以下から0.5%以下とすること、その規制を2020年1月から適用すること、が決定されました。

これに対応するためには、現在船舶燃料となっている重油を規制対応の燃料に変えるか、スクラバーと呼ばれる排ガス浄化装置を搭載するか、エンジン自体を硫黄やCO2の排出量が少ないLNG(液化天然ガス)を燃やすものに替えるかしなければなりません。

昨年からいろいろ騒がれていたんですが、規制対応油の国際規格が定まっていない事もあって、なかなか話が進んでいませんでした。

また、燃料を現在の重油から規制対応油に入れ替えるのに、入れ替える途中に混合して燃やしてエンジンは大丈夫なのか、とか、エンジン内を洗浄するための費用は誰が持つのか、とかでも揉めていました。

「費用は誰が持つのか」ってところをちょっと説明すると、船って、運航している船会社が全部所有しているわけじゃないんです。
別に船の持ち主である「船主」がいて、そこから船会社が借りて運航している場合が多いんですね。

そこで、そういう修理費でもなければ運航費でもない費用はどっちが持つんだ、ってことになっちゃったわけです。

結局どういう話に落ち着いたのか、まだ落ち着いていないのか、ごめんなさい、そこまでフォローしていません。

あと、ようやく規制対応燃料油の規格が決まってきて、その実証実験を今年度、つまり3月中にはやれそうだ、と言う報道もありました。

この件を巡っていろいろある中で、KAUぞうのところや荷主様に一番影響があって気になるのが、結局この規制によって、いつから、いくら海上運賃が上がるのか、ってところです。

規制対応燃料油に切り替えるとして、従来よりもいくら燃料代がかかるのかってのが運賃を決める前提ですよね。
ところが実は、現状ではこれがいくらくらいになるかが分かっていません。

まだようやく国際規格が決まったか決まらないかって状況ですから、どれくらい供給できて、どれくらい需要があるのか、それが分からない以上「相場」がわかんないんですね。

今ちょうど大手荷主と船会社の間で来年度の海上運賃の交渉をしているタイミングですが、どうも燃料費の値上がり分についてはBAF(Bunker Adjustment Factor)=燃料費調整係数=で秋口以降に別途調整する方向のようです。

従来の大手同士の海上運賃の決め方は、「年間固定・オールインでいくら」ってのが多かったようですが、業界紙などの報道によると、今回の燃料油規制問題でその慣習が崩れるのでは、という期待と言うか観測があるみたいです。

オールジャパンの船会社が連合して昨年4月にサービスを開始したONE(オーシャンネットワーク エクスプレ)が立ち上がりから苦戦しているように、定航コンテナ船社は各社とも収益確保が厳しい状況が続いています。

陸上輸送については、大手の宅配業者さんとかが頑張って「物流クライシス」ってのが注目されました。そのおかげでようやく値上げについても荷主様のご理解を得られつつある状況となっています。

実は海上輸送も同様で、このまま定航コンテナ船の赤字や苦戦が続くと、日本にダイレクトで寄港するループが無くなっていく危険性が言われています。

つまり日本の港はアジアのローカル港になって、全部のコンテナが釜山とか上海、シンガポールあたりで積み替えてもらわないと、北米にも、欧州にも運べなくなっちゃう可能性があるということです。

KAUぞうのところは、陸送にしても海上輸送にしても、運送会社さんや船会社さんと荷主様の間に入って、少しでも荷主様に納得頂ける料金で輸送サービスを提供するのが仕事です。
ですから運賃を値上げしてもらっても別に儲かるわけではないんですが・・・。

コンテナや貨物をスムースに、タイムリーにお届けするため、現在のサービスレベルを維持していくために、規制の強化などによる物流費の増加についてのご理解を賜ると大変ありがたいです・・・なんて、弱気にぼそっと呟いてみたりします。

もちろん知恵を絞って、なるべく経済的で効率的な通関、国際物流をアレンジするのが一番の仕事だと肝に命じて精進して参るつもりです。

・・・えーと、お金の話になったんで畏まった終わり方になっちゃいました。

いかがでしたでしょうか。
読んで、少しは「へぇ」と思っていただけたのであれば幸いです。

引き続きご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。


通関業務代行・輸入手続・輸出手続を代行 します。貴社の流通業務を改善提案、エキスパートがサポートします。
スポンサーサイト



[2019/03/02 23:47] | 時事ご案内 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
| ホーム |