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■ スロー・トレードと、世界の中心で自由貿易を叫んだけもの
「スロー・トレードと、世界の中心で自由貿易を叫んだけもの」


いよいよ年末、そしてお正月です。

ほんとに実感として、しみじみ1年がたつのが早くなりました。
いったいこの1年間、なにをばたばたやっていたのやら・・・。

今回は年末にふさわしく、まずはこの1年を振り返ってみようかと思います。


2016年01月11日  輸出 引き続きマイナス|15年11月 貿易額

2016年01月20日  15年コンテナ、アジア発米国向けは過去最高|日本積みは10%減

2016年02月5日   15年12月輸出額8%減|3ヶ月連続マイナス

2016年03月18日  横浜港 輸出入とも前年割れ

2016年03月31日  15年外貿 5%減 415万TEU

2016年04月26日  財務省3月集計 輸出入とも減/2ヶ月連続の 貿易黒字

2016年05月26日  日本発アジア域内 貨物量 4月大幅減 向け地シフトの動きも

2016年07月20日  2015年国内港湾コンテナ取扱量前年比3%減

2016年08月20日  7月の輸出額 6年9か月ぶりの大幅減少

2016年08月29日  2015年の 世界貿易額 6年ぶりマイナスの12.7%の減

2016年09月1日   韓進海運 が経営破綻・混乱拡大の恐れ

2016年09月21日 8月アジア発米国向け コンテナ 荷動き活発化

2016年09月27日 数量はプラスも輸出入額は減少続く 8月 貿易統計

2016年10月4日 東京港 外貿コンテナ個数 上半期2%増加

2016年10月25日  横浜港6・7月連続でコンテナ取扱量が15ヶ月ぶりに増加

2016年10月31日  邦船3社が定期コンテナ船事業統合で合意

2016年11月14日  円高影響 輸出入共マイナス 9月貿易統計

2016年11月30日  財務省貿易統計 10月も輸出入、金額・数量ともにマイナス

2016年12月19日  アジア発北米向け 3年連続コンテナ荷動き記録更新

2016年12月26日  11月貿易統計/輸出額回復傾向                  


・・・・いきなり禁断のコピペ技です。

といってもよそからではなくて、KAUぞうのところの公式ホームページの「KAUショー
トニュース」から、貿易・物流統計関係の記事のタイトルを抜粋してみました。


ざっと見て頂いて感じると思いますが、この1年は国際物流にとって大変厳しい1年でした。

ちなみに仲間はずれが二つありますがどれでしょう・・・・って、赤で書いちゃってますが・・・。

この二つについては、一般紙でもいろいろ報道や解説がされたんでご存知の方も多いと思
います。

両方ともこういう厳しい状況下で起こったことですが、海上物流の中でも、特に定期コンテナ
船は非常に厳しく、各船社とも赤字が続いているようです。

何年か前に大型船を注文して、それが相次いで完成しちゃった。ところが世界的に国際物
流が伸び悩んでいて、輸送力が余り気味。その為運賃が低迷・・・ってのが原因みたいです。


それじゃあなんで国際物流が伸び悩んでいるのかって話ですが・・・・。


皆さん、「スロー・トレード」という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

「世界の貿易量の伸び率が世界の実質GDP成長率を下回る状況」を指すそうで、2008年
の金融危機後、特に新興国で目立っている現象だそうです。

161226.png

上図を含め、以下出典はこちら 
2016年10月20日 日本銀行国際局 「スロー・トレード:世界貿易量の伸び率鈍化」
https://www.boj.or.jp/research/brp/ron_2016/ron161020a.htm/

原因としては、1)世界の実質GDPの低下 2)世界の需要構造の変化など構造的要因
3)短期的な負のショックなどの循環要因 の三つに分かれるそうで。

1)と2)は世界的に景気が良くなれば改善するはずなんでいいとして、そもそも問題は
「貿易量の伸び率がGDPの伸び率より低い」ことです。

だから問題は2)の構造的要因ってやつですよね。

いろんなことが指摘されていますが、中でも一番大きいのが、中国をはじめとした新興国
での資本財=つまり製造機械とか、物を作るための設備の輸入が減っていること。

これは、製品の輸出が不調だから・・・というよりも、そもそもいままで日本とか先進国
から輸入していた製造用の機械設備を自国で作れるようになった=内製化の進展が
理由だそうです。

いままでは輸出製品を作るためには製造用機械の輸入が必要、ということで、輸出の
増加と輸入の増加がリンクしていたんですが、それが切れちゃったってことですね。


もうひとつ大きな「構造要因」として言われているがグローバル・バリュー・チェインの
「拡大一服」。

部品を海外で安く作って輸入して、日本で作ったコア部品と一緒に最終製品を組み立てる。
(もともと国内で調達していた部品を、新興国からの安い輸入品に代替する)

とか、

日本からコア部品を輸出して組み立てだけ海外でやる。

とか、

一時期すごく増えた、いわゆる「中間財」を国境を越えてやり取りして最終製品を作るという
方式が一段落しちゃった。

いまは、部品製造から最終製品の組み立てまで、一貫して消費国や消費国に近いところで
行う、「地産地消」的なモデルの方が増えてるんですね。

ここでも新興国における輸出の増加と輸入の増加のリンクが外れちゃったわけです。


日銀のレポートでは結論として、世界経済が回復がすれば新興国の過剰設備の調整も進むから

「世界貿易量の伸び率が世界経済の実質 GDP 成長率並みに回復すると見込まれる。」

つまりスロー・トレードも終わる、と言っています。

まだまだ日本でしか作れない高度な製造機械や建設機械、輸送機器や最新式の製造ロボット・・・
なんて話を聞くんで、ざっくり言って世界的に景気が良くなれば日本からの輸出も回復するだろうと
は思います。

ただ構造的には既に大きな変化が起きちゃったんじゃないかという気がします。

日銀レポートでも、最後にBREXIT後の英国とEUの関係に触れ、

「世界の貿易量を巡る不確実性は引き続き大きい。今後とも世界の貿易量の推移を注視していく
必要がある。」

と締めくくっています。

このレポートが出されたのが10月。その後、前回この欄で書いたトランプ次期大統領の登場という
さらなる「不確実性」が増えました。


日本は貿易収入より知財収入の方が多い、「成熟した債権国家」化している、なんて話もありますが、
やはりモノづくりと貿易は日本の基盤です。魂です!

「クールジャパン」なんてのもありますが、製造財だけでなく、消費財、農産物なんかも、もっとどん
どんMade in Japanが世界に出ていくといいですね。


・・・最後に、実は最近、いまさらながら「下町ロケット」を見て感動したばかりなことを告白しておきます。

また、タイトルはなんとなくカッコよさげでつけただけで、実は深い意味がないことをお詫び申し上げ
ます・・・・。


いかがでしたでしょうか。
読んで、少しは「へぇ」と思っていただけたのであれば幸いです。

引き続きご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。



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[2016/12/26 17:31] | 共同フレイターズに関して | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
■ トランプ次期大統領とアメリカ向け貿易の話
「トランプ次期大統領とアメリカ向け貿易の話」

いよいよ年末が近づいてきました。

KAUぞうのところ、東京本社では有線放送で音楽を流しているんですが、11月に入った途端にクリスマスソングが流れ始めました。

昼間オフィス内にたくさん人がいる時には音楽はほとんど気にならない・・・というか気づきません。

だけど朝一番の人が少ない時や、夜ほとんどの人が帰って少人数で残業している時にはやたら音楽が耳につきます。

朝デスクに付くなり「もろびとこぞりて」だのが流れると、ちょっと楽しいような、違和感があるような。

さらに「早く帰りなさいよ」と言うのを促す意味で、18時には「遠き山に日が落ちて」、20時には「蛍の光」が流れます。

たまに遅くなって「蛍の光」を聞くと・・・・むかつきます。

「勝手に本日の業務を終了するな!」「こっちはまだ仕事が残ってるんだっ!」って感じです。

・・・・・実はこの設定を提案したのはKAUぞうなんですが・・・・・。

ちなみに有線を流しているのは、おしゃれで素敵なオフィスを演出する・・・ためではありません。

火災報知機の増設をケチって、パーティションの上のところを閉じなかったんで、会議室とかの声が聞こえちゃうんです。

その、マスキングを目的に導入を認めてもらいました・・・・。


さて、ここのところのビッグニュースと言えば、何と言ってもトランプさんが米国次期大統領に決まったことですよね。

大統領当選にももちろんびっくりしたんですが、それ以上に、

株が一回暴落したかと思ったらまた高騰したり、

円高が進んだと思ったらまたドル高になったり、

結果としていまのところ経済に好影響なのが意外と言うか驚きです。

なんかもっととんでもないことになるんじゃないかと漠然と思ってました。


KAUぞうのところの仕事、貿易や国際物流との関連で言うと、

「国内の雇用を守るために中国からの輸入品に高率の関税をかける」

とか言ってるわけで、ざっくり言って世界的な貿易の拡大には逆風ですよね。

それとはっきりした一番の影響は、これでTPPの発効がほぼ見込めなくなったことだと思います。

この先トランプ大統領のもとで自由貿易体制や世界経済はどうなるのか・・・

なんて話は難しすぎて何も言えないんですが、いま米国向けの輸出ってどうなってるの?って話を少し書こうと思います。


今年から世界的に話題になっている「ブラックフライデー」。
元々は米国におけるクリスマス・年末商戦のスタートイベントですよね。

ここを目掛けて世界中から米国に品物が行くわけで、10月と言うのは米国向け海上貨物のピークシーズンなんです。

でですね、「北米東航」と言われる、アジア18ヵ国・地域発北米向けの貨物について、日本海事センターが発表した10月の統計結果というのがあります。

今年の10月、過去最多です。前年同月比7.3%増。

それじゃあアジア発でどこからの貨物が多かったのかっていうと、

1位 中国(香港含む) 959,290TEU (10.1%増)
2位 ベトナム 85,122TEU (18.2%増)
3位 韓国         68,125TEU (3.6%減)
4位 日本         54,424TEU (5.6%減)  
(TEU=twenty-foot equivalent unit、20フィートコンテナ換算)

韓国と日本は物量的には3位、4位を占めているものの、増えるどころか減ってます。

上位の中でベトナム以上の増加率が6位のタイで43,742TEU(20.5%増)。

「アメリカは日本の最大の貿易相手国」なんてKAUぞうなんかは習って来たんですが、実は、
2004年に輸出入合わせた貿易額では、対中国が対米国を抜いてるんですね。

2015年の統計では、対中国が37.1兆円対して対米国は23.3兆円。
割合で言うと、対中国が24.1%に対して対米国は15.1%にまで落ちています。

もっともこれは日本との直接貿易が減ったというだけで、日本企業が米国内に工場を作ったり、中国やASEAN各国に作った工場から輸出したりしているんで、そのままの割合で日本経済にとっての米国の重要性が落ちているというわけではありません。

ただ、「物流」と言う面でみるとこうなるんですね。


いろいろ賛否はありますが、TPPはGDPで世界の4分の1を占める米国が先頭に立って、
非常に大きな枠で自由貿易を推進しようという試みでした。

それが一転自国優先の保護主義の方向に・・・。

これからどうなっちゃうのか、国際物流の仕事に関わっているから、と言うだけではなくとも心配です。


いかがでしたでしょうか。

読んで、少しは「へぇ」と思っていただけたのであれば幸いです。

引き続きご愛読のほどよろしくお願い申し上げます。


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[2016/12/01 11:13] | 時事ご案内 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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